新型コロナとバカの壁
勤務医が法人を作って経費を使うということ
経費としてものが買えるとしたら何を買ってみたいですか?
勤務医は業務委託契約を結ぶことができるか
貧乏はお金持ちを読んで、私はこれが自分のフリーランス生活に生かせないかどうかを真剣に考えました。
フリーランスになるとサラリーマン勤務医をしていた頃と比べて約3から4倍の稼ぎを得ることができます。
ただそれにつれて納める税金と社会保険料は3倍ではききません。
私の場合ですと5倍以上の税金と社会保険料を支払う羽目になりました。
年収18,000,000円を超えたあたりからは所得税と住民税合わせて約50%が徴収されてしまうため、3歩進んで2歩下がる感じです。
なんだか働いているのが馬鹿らしくなるような毎日でした。
もちろん脱税をすることはできません。
よくバイト先のいくつかを確定申告しない人がいますが、こういう初歩的な脱税はセンスが悪いです。
万が一税務調査を受けて、重加算税延滞税などでサラ金並みの利息で追徴課税を支払うことになってしまいます。
貧乏はお金持ちでは、普通のサラリーマンは勤め先を退職して法人を立ち上げ、業務委託契約を結びます。
その後はそれまで給与としていてもらっていた金を法人への報酬として受けとり、法人でできる限りの経費を使った後に最低限の役員報酬を法人から自分に支払います。
経費としては、家賃や車、パソコンや外食費など個人では絶対に経費として認められないものも法人だと経費として認められます。
その幅が格段に大きくなるため節税効果が極めて高いです。
もちろん給与ではなく法人として報酬を受け取る場合にはいくつかクリアしなければいけない条件はあるのですが、終身雇用から外れる覚悟さえあれば特段難しい方法ではないと思います。
医者はもともと労働組合がないところが多く、終身雇用の恩恵は受けていないですしね。
さて、ここで法人として奉仕を受けるにあたって名超えなければいけない壁を下記に列挙してみましょう。
①会社への属性
その会社の仕事を行う場合、その会社の承諾を要するかどうか
②業務の裁量権
個々の作業について指示を受けるか、その人の代わりに他人へのアウトソーシングが許容されているか
③勤務形態
勤務時間、勤務場所の拘束を受けるか
④支払形態
・定期の月額払い等によるものか、または完成従量によるものか
・定期昇給・退職金の支給等の取り決めの有無
・残業手当等、賞与支払いの取り決めの有無
・タイムカード、出勤簿管理の有無
・請求書発行の有無
・支払日が会社の従業員への給与支払い日と同じか、外注先に支払う日と同じか
⑤福利厚生面
・社会保険の加入・厚生施設の利用など、従業員との取扱いに差があるか
・忘年会などに出席して会社負担になっているのか、自己の負担によるか
⑥その他
・原材料・作業用具の支給状況、経費の負担状況
・引渡し未済品の不可抗力により滅失の場合の、その報酬請求権
いかがでしょうか。
普通の会社に勤める営業職であればこれらの問題点をクリアすることはさほど難しくありません。
しかし勤務医の場合、病理や放射線科などの1部の診療科を除いて、病院に行って患者を診察検査治療しなければなりません。
その性質上、どうしても病院に時間的空間的に拘束されます。これが法人として業務委託をする場合に非常に大きな問題になります。
なぜなら病院に時間的空間的拘束を受けると税務上は病院に雇用されていると言うことになるため、法人への報酬ではなく個人への給与であると税務署に判断されるためです。
個人の給与として判断されてしまうと、当然経費が使えなくなり普通のサラリーマンと同様に所得税や住民税がそのままかけられてしまいます。
法人を立ち上げるために費やした金銭的時間的コストはすべて水の泡になってしまいます。
ここをどうやってクリアしていくか。
私も頭を悩ませました。
ビジネス書の役割
ビジネス書や自己啓発について皆さんはどのような意見をお持ちでしょう。
最初に話しておくと、私はビジネス書や自己啓発書について肯定的な考え方を持っています。
ただ世の中にはそういった類の書籍について否定的な意見も珍しくありません。
特に叩かれやすいのはホリエモンでしょうか。
私は彼の書籍は好きなのですが、なにが否定されているのでしょう。
よく聞くのは
「あれはホリエモンだからできたのであって、普通の人には再現性がない」
といった類のものでしょう。
Twitter で有名なめいろまさんは、自己啓発書やビジネス書の類を読むのは時間の無駄とまで言い切っています。
果たして本当にそうでしょうか?
ビジネス書を呼んで自分の生活に活かせない人と活かせる人の差はどこにあるのでしょう。
私はこれがずっと疑問だったのですが、「具体と抽象」を読んで理解できました。
ここでまずはホリエモンが「美味しくパンケーキを作る方法を開発した」というビジネス書を出したと仮定してみましょう。
堀江「方法は至って簡単だ。材料を混ぜ合わせた後、右に95回左に82回撹拌するとふわふわの生地が出来上がる。あとは焼くだけだ」
いかがでしょう?
ここでビジネス書を否定する人はこう思うのではないでしょうか。
「たまたまうまくいっただけだろ。他の人がやっても同じようにはならない」
具体だけを額面通り理解するからです。
それに対してビジネス書を生活に利用できる人はどうでしょう。
「これを完コピしても、きっと美味しいパンケーキはできない。
でも本質はそこではない。
今までパンケーキを美味しく作ろうと思ったら、卵やバターといった材料の質を上げる事が大事だとされてきたが、そうではないのかもしれない。
パンケーキを美味しく焼くための一番大切な工程は生地の撹拌にある(抽象)。
ホリエモンが言いたいのはそういうことだ」
そのように理解するのではないでしょうか。
そう、具体的な「体験談」から抽象的な「概念」に変換したのです。
ここで終わりではありません。
抽象的に掴んだ本質を、自分なりの「具体」に落とし込む必要があります。
そこからはトライアル・アンド・エラーが必要でしょう。
結果、自分にとって最適な撹拌回数が「右に102回、左に79回」だと気づけるかもしれません。
またその日の気温や湿度によって攪拌回数は微調整が必要だということにも気づくかもしれません。
具体と抽象を行き来できる能力。
これがビジネス書なり自己啓発書なりを読むのには必須なんだと思います。
もちろんすべてのビジネス書が有用だというつもりもありません。
しかし良書には有料セミナーや講演会などとは比べ物にならないくらいの情報量が詰め込まれていて、それが1000円ちょっとで手に入れられると言うのは、冷静に考えるとすごい事です。
同じ著者のセミナーや講演会に数十倍のお金を払って参加しても、書籍以上の気づきを得られることなんてほとんどありませんし。
事実、私の人生は橘玲さんをはじめとしたいくつかのビジネス書で大きく動き始めました。
そういう意味で私はとてもラッキーだったと思いますし、
これからも良書にめぐりあう旅を続けていきたいと思います。
貧乏はお金持ち
フリーランス医の税金③ 〜社会保険料の欺瞞〜
前回まではこちら。
freelancedoctortakeru.hatenablog.com
freelancedoctortakeru.hatenablog.com
社会保険料について理解している人は、この国に一体どの程度いるのでしょう。
サラリーマンは勤務先が社保を半分持ってくれててお得。
それくらいの間違った認識を持ってる人が大半なのではないかと思います。
以前の私がそうでしたから。
果たして本当にお得なのでしょうか?
それを以下に解説したいと思います。
私の年収が3,000万円を超えていた時、私が支払っていた医療保険は約100万円、厚生年金は約70万円でした。
これだけでもかなり高額ですが、実際には私の負担金はこんなものではありません。
保険も年金も労使折半ということになっているので、私が負担したお金と同額を勤務先(病院)が支払っています。
ここがみんな勘違いしているところなのですが、この勤務先が負担しているお金というのは経営者がポケットマネーで払ってくれているわけではありません。
労働者の社会保険料も勤務先からすれば給料と全く同じ、人件費なわけです。
言い方を変えれば勤務先が支払っている社会保険料のお金は、労働者の給料からあらかじめ天引きされた分を会社が支払っているに過ぎません。
私の本当の年収というのは額面通りの3,000万円に勤務先が負担している保険と年金の料金約170万円を加えて3170万円が本来の給与であったと考えることができます。
そして社会保険の負担金というのは、個人負担と法人負担を合わせたお金、つまり170万円x2で340万円になります。
ここで前回のエントリに書いた所得税と住民税が1千万円 。
私が日本国に徴収されたお金は合計して1000万円+340万円=1340万円という計算になります。
3170万に対して1340万円ということは、収入の約42%を問答無用で国家に収奪されたことになります。
恐ろしくなりませんか?
私は恐ろしくなりました。
もちろん日本人ですからある程度の税金を支払わなければならないというのは覚悟していますし、納税の義務は果たしたいと思っていました。
しかしいくらなんでも4割以上というのは大すぎます。
ここから更に何かを買うたびに消費税も負担するわけですから、五公五民をヨユーで超えてきます。
これはもう一揆を起こすしかないのか。
そうやって徒労感に苛まれていた矢先私は一冊の本に出会います。
それが橘玲さんでした。
次回はそれについて触れたいと思います。
フリーランス医の税金②
前回の記事はこちら。
freelancedoctortakeru.hatenablog.com
これを読まれている勤務医の方々は自分が納めている所得税と住民税、また健康保険料と 厚生年金保険料を全部合わせていくら払っているかを把握されているでしょうか?
日本は超累進課税を採用している国ですから、所得が増えれば増えるほど税額はもちろんのこと税率まで増えていく国です。
所得税率は現在最高で45%、これに住民税は一律10%ついてくるので最高で約55%の税金を課せられることになります。
実際には復興所得税というのも追加されているのですが、ここでは話が煩雑になってしまうので省略します。
単純計算で行くと年収4千万円を超える人はそこから更に1万円稼いでも5500円は国に没収されるという計算になります。
私が年収3000万円を超えていた時には、所得税と住民税だけで約1千万円を納税していました。
気が遠くなるような数字です。
でも実際はもっとひどいのです。
実はこれ以外に社会保険料が大きいのですが、ほとんどのサラリーマンはそれに気付いていません。
なぜなら社会保険料の負担は厚生労働省があえてわかりにくい仕組みにして巧妙に負担額を少なく見せているからです。
次回はそこについて解説をしたいと思います。